犬を飼う前に知っておきたい法律とルール完全ガイド

これから犬を家族に迎えようと考えているあなたへ。犬との暮らしは喜びに満ちていますが、飼い主には法律で定められた義務があります。知らずに違反してしまうと罰則の対象になることも。この記事では、犬を飼う前に必ず知っておくべき法律や手続きについて、わかりやすく解説していきます。

目次

必須の手続き:30日以内にやらなければならないこと

犬の登録は法律で義務づけられています

狂犬病予防法により、犬を飼い始めたら30日以内に市区町村への登録が義務付けられています。生後90日以内の子犬の場合は、生後90日を過ぎてから30日以内に登録します。

登録すると「鑑札」が交付されますので、これを犬の首輪などに付けておく必要があります。登録を怠ると、20万円以下の罰金が科される可能性があるので注意しましょう。

狂犬病予防注射は年1回必ず受けさせる

狂犬病予防注射は年1回の接種が法律で義務となっています。日本では長年狂犬病の発生はありませんが、万が一の侵入に備えた重要な対策です。

注射を受けたら「注射済票」が交付されるので、こちらも鑑札と一緒に首輪に付けておきます。未接種の場合、20万円以下の罰金が科される可能性があります。

マイクロチップ装着について知っておこう

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2022年6月から、ペットショップやブリーダーなどの販売業者には、犬や猫へのマイクロチップ装着が義務化されました。

販売業者から購入した場合

すでにマイクロチップが装着されているはずです。飼い主になったら、30日以内に自分の情報に変更登録する必要があります。これは義務です。

知人から譲り受けた場合や保護した場合

一般の飼い主への装着は努力義務です。ただし、迷子や災害時の対策として装着を強くおすすめします。装着した場合は登録が義務となります。

マイクロチップがあれば、迷子になったときに飼い主を見つけやすく、災害時の再会率も大きく上がります。

絶対に守るべき飼育のルール

放し飼いは禁止されています

犬の放し飼いは条例で禁止されています。散歩の際は必ずリードを付け、他人に危害を加えないよう管理する責任があります。

リードを付けずに散歩させた結果、人に怪我をさせた場合、民法上の損害賠償責任が発生します。さらに、自治体の条例違反として罰金が科されることもあります。

糞の始末は飼い主の責任

散歩中の糞の放置は、地域住民に迷惑をかけるだけでなく、多くの自治体で条例違反となります。必ず持ち帰って適切に処理しましょう。

無駄吠えへの配慮も必要

犬の鳴き声による騒音トラブルも増えています。ストレスによる無駄吠えを防ぐため、毎日の散歩や適切な運動が大切です。

近隣への配慮を怠ると、トラブルの原因になるだけでなく、犬自身もストレスを抱えることになります。

繁殖を考えていない場合は不妊手術を

動物愛護管理法では、適正な飼養が困難になるおそれがある場合、繁殖制限の措置を講じることが義務とされています。

不妊去勢手術には、以下のようなメリットがあります:

  • 望まない繁殖を防げる
  • 発情期のストレスを軽減できる
  • 特定の病気のリスクを下げられる
  • マーキング行動が減少する

繁殖させる予定がないなら、早めの手術を検討しましょう。

虐待・遺棄は重大な犯罪です

動物愛護管理法の罰則は、近年大幅に引き上げられました。

罰則の内容

  • 殺傷:5年以下の懲役または500万円以下の罰金
  • 虐待・遺棄:1年以下の懲役または100万円以下の罰金

虐待には、適切な給餌・給水を怠ること、病気やケガを放置すること、狭いケージに長時間閉じ込めることなども含まれます。

「飼えなくなった」という理由で捨てることは遺棄罪に該当します。どうしても飼育継続が困難な場合は、新しい飼い主を探すか、自治体に相談しましょう。

ペットショップやブリーダーから迎える場合の確認ポイント

生後57日未満の子犬は販売禁止

現在、ペットショップやブリーダーは生後56日を経過していない子犬を販売できません(天然記念物の日本犬の一部を除く)。

これは、子犬の社会化期に母犬や兄弟犬と過ごすことが、将来の問題行動を防ぐために重要だからです。

対面説明と現物確認は必須

ペット販売業者には、販売前に対面での説明と、購入予定の犬を直接見せることが義務付けられています。

ネット上の写真だけで契約させようとする業者は、法律違反の可能性があります。必ず実際に犬を見て、説明を受けてから判断しましょう。

飼い主の責任を果たすために

最後まで責任を持って飼う

犬の寿命は10〜15年以上。長期間にわたる責任が伴います。以下のような準備が必要です:

  • 十分な飼育費用(医療費、食費、ケア用品など)
  • 毎日の散歩や世話をする時間
  • 病気や怪我への対応
  • 引っ越しや家族の変化への対応

適切な健康管理

  • 定期的な予防接種
  • フィラリアやノミ・ダニの予防
  • 体調の変化に気づいたら早めに獣医師に相談
  • 年1回以上の健康診断(特にシニア犬)

しつけの重要性

他人に迷惑をかけないよう、基本的なしつけは必須です:

  • トイレトレーニング
  • 「待て」「おいで」などの基本コマンド
  • 無駄吠えをしないトレーニング
  • 散歩時の引っ張り防止

住んでいる地域の条例も確認しよう

犬の飼育に関するルールは、国の法律だけでなく、各自治体の条例でも細かく定められています。

  • 特定犬種の飼育制限
  • リードの長さの規定
  • 公園での犬の入場制限
  • 糞の始末に関する罰則

お住まいの市区町村のホームページや、保健所・動物愛護センターで確認しておきましょう。

まとめ:愛情と責任を持って

犬を飼うことは、法律上の義務を果たすだけでなく、一つの命を預かる大きな責任です。

正しい知識を持って、法律を守り、適切なケアをすることで、犬も人も幸せに暮らせます。わからないことがあれば、獣医師や自治体の担当窓口に相談しましょう。

これから始まる愛犬との生活が、素晴らしいものになることを願っています。準備をしっかり整えて、新しい家族を迎え入れてくださいね。


困ったときの相談先

  • 市区町村の保健所・動物愛護センター
  • かかりつけの動物病院
  • 環境省「動物の愛護と適切な管理」サイト

犬との暮らしで疑問や問題が生じたら、一人で悩まずに専門家に相談することが大切です。

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