犬がティッシュを食べた!? すぐできる応急処置とNG対応

「ちょっと目を離した隙に、愛犬がティッシュの箱を引っ張り出してボロボロに…」そんな経験、ありませんか?犬がティッシュを食べてしまうのは、実は珍しいことではありません。でも、いざそんな場面に遭遇すると、どう対処すればいいのか慌ててしまいますよね。
今回は、犬がティッシュを食べてしまった時の応急処置や、やってはいけないNG対応、そして予防策まで詳しく解説していきます。いざという時のために、ぜひ参考にしてください。
犬がティッシュを食べてしまう理由

まずは、なぜ犬がティッシュを食べてしまうのか、その理由を知っておきましょう。
好奇心と遊び
子犬や若い犬は特に好奇心旺盛で、ヒラヒラと動くティッシュを獲物のように追いかけて遊びます。噛んでいるうちに、そのまま飲み込んでしまうことがあります。
退屈とストレス
十分な運動や刺激が得られていない犬は、退屈しのぎにティッシュをいたずらすることがあります。また、分離不安や環境の変化によるストレスから、問題行動としてティッシュを食べることも。
飼い主の反応を楽しんでいる
犬がティッシュを引っ張り出したときに、飼い主さんが慌てて追いかけたり、大きな声を出したりすると、犬はそれを「遊び」だと認識します。飼い主の関心を引くために、わざとティッシュをいたずらすることもあります。
食べ物の匂いがついている
鼻をかんだティッシュや、食事の際に使ったティッシュには食べ物の匂いが染み付いています。嗅覚が鋭い犬にとって、それは魅力的な「おやつ」に感じられるのかもしれません。
歯の生え変わり時期
生後4〜7ヶ月頃の子犬は、歯の生え変わりで歯茎がムズムズします。その不快感を和らげるために、柔らかいティッシュを噛みたがることがあります。
ティッシュを食べた時の危険性

ティッシュは柔らかいし、少量なら問題ないのでは…?と思われるかもしれませんが、実は様々なリスクがあります。
消化器官の閉塞
大量のティッシュを食べた場合、胃や腸で詰まってしまう可能性があります。特に水分を吸収したティッシュは膨らみ、消化管を塞いでしまうことも。腸閉塞は命に関わる緊急事態です。
嘔吐と下痢
ティッシュは消化できないため、体が異物として排出しようとして嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。頻繁な嘔吐や血便が見られる場合は要注意です。
窒息のリスク
大きな塊のティッシュを飲み込もうとして、喉に詰まらせてしまう危険性もあります。特に小型犬は喉が細いため、窒息のリスクが高くなります。
化学物質による影響
ティッシュには漂白剤や香料などの化学物質が含まれていることがあります。大量に摂取すると、これらの成分が胃腸に刺激を与える可能性があります。
ティッシュの箱のプラスチック部分
ティッシュだけでなく、箱の取り出し口のプラスチック部分まで食べてしまうこともあります。これは消化できず、内臓を傷つける恐れがあるため非常に危険です。
すぐにできる応急処置

愛犬がティッシュを食べてしまったら、まずは落ち着いて以下の対応をしましょう。
食べた量を確認する
まず、どのくらいの量を食べたのか把握することが大切です。箱に残っているティッシュの枚数や、散らばっているティッシュの状況から推測しましょう。
少量(1〜2枚程度)の場合 通常は自然に排出される可能性が高いです。ただし、愛犬の様子を注意深く観察してください。
大量(10枚以上)の場合 動物病院への連絡が必要です。特に小型犬の場合は、少量でもリスクが高まります。
愛犬の状態をチェック
以下の項目を確認してメモしておきましょう。動物病院に相談する際に役立ちます。
- 食べた時刻
- 食べた量(推定)
- 現在の様子(元気、ぐったりしている、など)
- 呼吸の状態
- 嘔吐や咳の有無
- 食欲の有無
口の中を確認
口の中にまだティッシュが残っていないか、優しく確認しましょう。残っている場合は、無理のない範囲で取り除きます。ただし、喉の奥に詰まっている場合は無理に引っ張らず、すぐに動物病院へ。
水を飲ませる
少量の水を飲ませることで、ティッシュの通過を助けることができます。ただし、大量に飲ませると嘔吐を誘発する可能性があるため、コップ1杯程度にとどめましょう。
動物病院に連絡
以下のような症状が見られる場合は、すぐに動物病院に連絡してください。
- 激しい嘔吐や吐き気
- 呼吸が苦しそう
- ぐったりして元気がない
- お腹を痛がっている
- 食欲がない
- 大量のティッシュを食べた(体重に対して)
夜間や休日の場合は、救急動物病院の連絡先を事前に調べておくと安心です。
排泄物を確認
ティッシュが便と一緒に出てくるか、数日間は排泄物を注意深く観察しましょう。ティッシュが混ざって出てくれば、無事に排出されたサインです。
絶対にやってはいけないNG対応

良かれと思ってやってしまいがちですが、以下の対応は危険なので絶対に避けてください。
無理に吐かせようとする
人間用の吐き気止め薬や、塩水などを使って無理に吐かせるのは大変危険です。誤嚥性肺炎を引き起こしたり、食道や胃を傷つけたりする可能性があります。
催吐処置が必要かどうかは、必ず獣医師の判断を仰ぎましょう。
放置する
「ちょっとだけだから大丈夫」と油断するのは禁物です。少量でも、犬の体格や健康状態によっては深刻な事態になることがあります。
少なくとも24〜48時間は愛犬の様子を注意深く観察してください。
大声で叱る
ティッシュを食べている現場を見つけても、大声で叱ったり、慌てて追いかけたりするのは逆効果です。犬は「遊んでもらえた」と勘違いして、繰り返すようになります。
落ち着いた態度で対処し、静かにティッシュを取り上げましょう。
無理に引っ張り出す
口や喉からティッシュが出ているからといって、無理に引っ張るのは危険です。喉や食道を傷つけたり、さらに奥に押し込んでしまったりする可能性があります。
様子見で数日放置
「便と一緒に出るだろう」と楽観視して、何日も様子を見るのは危険です。消化管で詰まっている場合、時間が経つほど状態が悪化します。
48時間以内に便に混ざって出てこない場合は、動物病院を受診しましょう。
動物病院での治療

動物病院では、状況に応じて以下のような治療が行われます。
問診と身体検査
まず、獣医師が詳しく状況を聞き、愛犬の全身状態をチェックします。お腹を触診して、異常がないか確認します。
レントゲン検査・超音波検査
ティッシュは通常のレントゲンでは映りにくいのですが、消化管の詰まりや異常なガスの溜まりなどから判断します。必要に応じて、超音波検査も行われます。
催吐処置
食べてから時間が経っていない場合、注射で嘔吐を促す処置が行われることがあります。ただし、すでに胃から腸に移動している場合は効果がありません。
内視鏡による摘出
胃の中にまだティッシュが残っている場合、内視鏡を使って取り出すことができます。開腹手術よりも体への負担が少ない方法です。
点滴治療
脱水症状がある場合や、ティッシュの通過を助けるために、点滴治療が行われることがあります。
開腹手術
腸閉塞を起こしている場合や、内視鏡では取り出せない場合は、開腹手術が必要になることもあります。早期発見・早期治療が重要です。
ティッシュいたずらを防ぐ予防策

一度ティッシュを食べてしまった犬は、繰り返す傾向があります。以下の予防策を実践しましょう。
環境を整える
ティッシュを犬の届かない場所に置く 棚の上や引き出しの中など、愛犬が絶対に届かない場所に保管しましょう。「ちょっと高い場所」では、ジャンプして取ってしまうこともあります。
ゴミ箱に蓋をする 使用済みティッシュが入ったゴミ箱も、犬にとっては魅力的なターゲットです。蓋付きのゴミ箱を使うか、犬が入れない場所に置きましょう。
十分な運動と刺激を与える
退屈からくるいたずらを防ぐため、毎日の散歩や遊びの時間をしっかり確保しましょう。知育玩具やノーズワークなども効果的です。
適切な噛むおもちゃを用意
噛みたい欲求を満たすため、安全な噛むおもちゃを与えましょう。コングやデンタルガムなど、犬が夢中になれるアイテムがおすすめです。
基本的なしつけ
「ダメ」「離せ」などのコマンドをしっかり教えておくと、ティッシュをくわえた時に対処しやすくなります。日頃から、おもちゃの交換トレーニングなども行いましょう。
留守番中の対策
留守番中にいたずらする犬には、サークルやケージを活用するのも一つの方法です。安全な空間で過ごさせることで、誤飲事故を防げます。
ストレス管理
分離不安や環境の変化によるストレスがある場合は、根本的な原因に対処することが大切です。必要であれば、ドッグトレーナーや獣医師に相談しましょう。
ティッシュ以外にも注意が必要なもの

ティッシュと同様に、犬が誤飲しやすい日用品は他にもあります。
- 綿棒:飲み込むと腸に刺さる危険性
- 生理用品:吸水ポリマーが体内で膨張
- タバコ:ニコチン中毒を引き起こす
- 薬:人間用の薬は犬には有毒
- チョコレート:テオブロミンが中毒を引き起こす
- 電池:漏れた液体が化学火傷を起こす
- 輪ゴム・ヘアゴム:腸に詰まりやすい
これらも犬の届かない場所にしっかり保管しましょう。
まとめ
犬がティッシュを食べてしまうのは、決して珍しいトラブルではありません。大切なのは、慌てずに適切な対応をすることです。
少量であれば自然に排出されることも多いですが、大量に食べた場合や、何か異変が見られる場合は、迷わず動物病院に相談してください。無理に吐かせたり、放置したりするのは絶対にNGです。
そして何より、日頃からティッシュを犬の届かない場所に置く、十分な運動と刺激を与えるなど、予防策をしっかり実践することが重要です。
愛犬の安全を守るために、この記事の内容をぜひ覚えておいてくださいね。万が一の時も、落ち着いて対処できるよう、かかりつけの動物病院や救急病院の連絡先も事前に確認しておきましょう。

