「呼んでも来ない」犬、実はこんな心理が働いていた?驚きの行動パターン

「おいで!」と呼んでも、知らんぷりで無視される…そんな経験、ありませんか?家の中では素直に来るのに、散歩中やドッグランでは全く反応しない。まるでわざと無視しているように見えることもありますよね。

実は、犬が呼んでも来ないのには、様々な心理や理由が隠されています。今回は、犬の「呼ぶと来ない」行動の背景にある心理パターンと、効果的な対処法について詳しく解説していきます。

目次

犬が呼んでも来ない7つの心理パターン

愛犬が名前を呼んでも来ない時、実は様々な心理が働いています。一つずつ見ていきましょう。

1. 「今やっていることの方が楽しい」

犬にとって最も多い理由がこれです。目の前に面白そうな匂いがある、他の犬と遊んでいる、美味しそうなものを発見した…こんな時、飼い主の呼びかけよりも「今の楽しみ」を優先してしまいます。

これは決してわがままではなく、犬の本能的な行動です。犬は基本的に「今この瞬間」を生きる動物なので、目の前の刺激に夢中になってしまうのは自然なことなんです。

2. 「呼ばれると嫌なことが起きる」という学習

過去の経験から、「呼ばれる=楽しいことが終わる」と学習している可能性があります。例えば、

  • ドッグランで呼ばれた後、いつも帰宅させられる
  • 呼ばれた後に爪切りやシャンプーをされる
  • 楽しく遊んでいる時に呼ばれて中断させられる
  • 呼ばれた後に叱られたことがある

こうした経験が積み重なると、「呼ばれる=嫌なことの前触れ」という条件付けが形成されてしまいます。すると、犬は呼ばれることを避けるようになります。

3. 「聞こえているけど優先順位が低い」

犬は聞こえているのに、あえて無視していることもあります。これは「呼び戻し」よりも魅力的なものがある時に起こります。

飼い主との信頼関係が薄い場合や、呼び戻しに対して特別なメリットを感じていない場合、「まぁ後でいいか」という気持ちで優先順位を下げてしまうんです。

4. 「独立心が強く、自分のペースを崩したくない」

犬種によっては、独立心が強く、常に飼い主の指示に従うことを好まないタイプもいます。特に狩猟犬や日本犬などは、自分で判断して行動する傾向が強く、呼ばれてもすぐには来ないことがあります。

これは性格の問題であり、決して飼い主を嫌っているわけではありません。

5. 「距離が遠すぎて不安」

呼んでも来ない理由の一つに、「飼い主との距離が遠すぎる」というのもあります。特に臆病な性格の犬や、まだ若い犬の場合、遠くから呼ばれても不安で動けないことがあります。

また、周囲に気になるものがある場合、飼い主のところまで行く途中で注意が逸れてしまうこともあります。

6. 「興奮しすぎて指示が入らない」

興奮状態にある犬は、飼い主の声が耳に入っていても、脳が正常に処理できません。他の犬と遊んでいる時や、何か追いかけている時などは、アドレナリンが出ていて冷静な判断ができないんです。

これは「無視」ではなく、「聞こえていない」に近い状態です。

7. 「体調不良や加齢による聴力低下」

シニア犬の場合、実際に聴力が低下していて、呼びかけに気づいていない可能性もあります。また、体調が悪い時や疲れている時は、反応が鈍くなることもあります。

特に急に呼び戻しができなくなった場合は、健康面のチェックも必要です。

犬種による「来ない」傾向の違い

実は、犬種によって「呼ばれても来ない」傾向には差があります。

呼び戻しが難しい犬種

日本犬(柴犬、秋田犬など) 独立心が強く、自分の判断を優先する傾向があります。忠実ですが、常に飼い主に従順というわけではありません。

ハウンド系(ビーグル、ダックスフンドなど) 狩猟本能が強く、匂いや獲物を追うことに夢中になると、飼い主の呼びかけが耳に入りません。

テリア系(ジャックラッセルテリア、ヨークシャーテリアなど) 気が強く、自己主張が激しいため、自分のやりたいことを優先することがあります。

北方犬種(ハスキー、マラミュートなど) 群れで自律的に行動する本能が強く、人間の指示に対する執着が薄い傾向があります。

呼び戻しが比較的しやすい犬種

レトリバー系(ゴールデン、ラブラドール) 人と協力して働くことを目的に改良された犬種なので、飼い主の指示に従うことを喜びとします。

プードル 知能が高く、人間の指示を理解する能力に優れています。

ボーダー・コリー 牧羊犬として人間と密接に働いてきた歴史があり、指示への反応が非常に良い犬種です。

ただし、これはあくまで傾向であり、個体差や育て方の影響も大きいことを忘れずに。

「呼んでも来ない」を改善する効果的な方法

それでは、具体的にどうすれば呼び戻しができるようになるのか、見ていきましょう。

基本1:呼ばれることを「良いこと」にする

呼び戻しのトレーニングで最も重要なのは、「呼ばれる=いいことがある」という条件付けです。

具体的な方法

  • 呼んで来たら、必ずご褒美(おやつや褒め言葉)をあげる
  • 楽しく遊んでいる最中でも、時々呼んでおやつをあげてまた遊ばせる
  • 呼び戻した後にすぐ嫌なこと(帰宅、爪切りなど)をしない
  • 最初は短い距離から始め、徐々に難易度を上げる

基本2:呼び戻しの「合図」を特別なものにする

普段から名前を連呼していると、名前自体の特別感が薄れてしまいます。呼び戻し専用の言葉を決めるのも効果的です。

おすすめの合図

  • 「おいで」+名前
  • ホイッスル(犬笛)を使う
  • 特定の音(手を叩く、舌打ちなど)

呼び戻しの合図は、必ず来てもらいたい時だけに使い、安売りしないことが大切です。

基本3:段階的なトレーニング

いきなり刺激の多い公園で呼び戻しをするのは難しいです。以下の順序で練習しましょう。

ステップ1:室内で練習 気が散るものが少ない家の中から始めます。

ステップ2:庭やベランダで練習 少し刺激が増える環境で練習します。

ステップ3:静かな場所でロングリード 人や犬が少ない場所で、ロングリードをつけて練習します。

ステップ4:刺激のある場所で練習 徐々に刺激の多い環境でチャレンジします。

各ステップで80%以上の成功率になってから、次に進みましょう。

基本4:呼ぶタイミングを見極める

成功体験を積み重ねることが重要なので、呼ぶタイミングも大切です。

呼びやすいタイミング

  • 犬がこちらを見た時
  • 何もしていない時
  • 飼い主の方に向かって歩いてきている時

避けるべきタイミング

  • 他の犬と激しく遊んでいる時
  • 何かに夢中になっている時
  • 飼い主から離れていく方向に走っている時

基本5:「追いかけっこ」にしない

犬が来ない時に追いかけてしまうと、犬は「遊び」だと勘違いします。呼んでも来ない場合は、

  • その場にしゃがむ
  • 反対方向に歩き出す
  • 手を叩いて関心を引く
  • おやつの袋を振る

など、犬の興味を引く工夫をしましょう。

応用テクニック:「たまにしか来ない」を活用

最初は、来たら毎回ごほうびをあげますが、ある程度できるようになったら、時々ごほうびをあげないようにします(間欠強化)。これにより、「今回はもらえるかも!」という期待感が強化され、より確実に来るようになります。

NGな対応

以下の対応は、呼び戻しをより困難にしてしまうので避けましょう。

  • 来ない時に大声で怒る
  • 来た後に叱る
  • 来るまで何度も名前を連呼する
  • 追いかけ回す
  • 諦めて放置する

緊急時の対処法

呼んでも来ない状況で、危険が迫っている場合の対処法もご紹介します。

しゃがんで関心を引く

人間がしゃがむと、犬は「何かあるのかな?」と興味を持ちます。急にしゃがんで、犬の注意を引きましょう。

反対方向に走る

追いかけると逃げますが、反対に飼い主が走って逃げると、犬は追いかけてきます。追いかけられる本能を利用した方法です。

音で注意を引く

おやつの袋をガサガサさせる、ホイッスルを吹く、手を叩くなど、犬が反応する音を出してみましょう。

地面に寝転ぶ

最終手段ですが、地面に寝転ぶと犬は心配して近づいてきます。ただし、これは緊急時のみの奥の手です。

年齢別の「来ない」対策

子犬期(生後2ヶ月〜6ヶ月)

この時期は呼び戻しを教える絶好のチャンスです。飼い主への関心が強く、学習能力も高いので、積極的にトレーニングしましょう。

遊びながら楽しく教えることがポイントです。

青年期(6ヶ月〜2歳)

反抗期とも呼ばれるこの時期は、急に呼び戻しができなくなることもあります。根気強く、基本に立ち返って練習しましょう。

ホルモンバランスの変化で衝動的になりやすい時期なので、安全第一で臨みましょう。

成犬期(2歳〜7歳)

性格が安定してくる時期です。今まで呼び戻しができていなかった場合でも、根気よくトレーニングすれば改善できます。

悪い習慣が定着している場合は、専門家の助けを借りるのも良いでしょう。

シニア期(7歳以降)

聴力や視力の低下を考慮したトレーニングが必要です。声だけでなく、手信号を組み合わせたり、より近い距離で呼んだりする工夫をしましょう。

プロに相談すべきケース

以下のような場合は、ドッグトレーナーや行動療法の専門家に相談することをおすすめします。

  • 自分でトレーニングしても全く改善しない
  • 危険な場所で呼び戻しができず、事故の危険がある
  • 呼び戻しができないことで、散歩や外出が困難
  • 分離不安や他の問題行動も併発している

専門家は犬の性格や状況に応じた適切なアドバイスをしてくれます。

まとめ

犬が呼んでも来ないのは、単なるわがままではなく、様々な心理や理由が背景にあります。大切なのは、犬の気持ちを理解し、「呼ばれる=良いことがある」という条件付けを根気強く行うことです。

呼び戻しは、愛犬の安全を守るために欠かせない重要なしつけです。焦らず、楽しみながら、愛犬との信頼関係を深めていきましょう。

完璧を目指す必要はありません。少しずつ改善していけば、いつか必ず「おいで!」の一言で喜んで駆け寄ってくる愛犬の姿が見られるはずです。トレーニングを通じて、愛犬との絆をさらに深めていきましょう。

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