愛犬の噛み癖を直す効果的な方法5選:トレーニングのコツとNG行動
可愛い愛犬との生活を送る中で、「噛み癖が気になる…」と悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか?特に子犬を迎えたばかりの頃は、手や足、家具などを噛んでしまうことがよくあります。
今回は、犬の噛み癖を効果的に直す方法を5つご紹介します。
1. 犬が噛む理由を理解しよう

まずは、なぜ犬が噛むのか、その理由を理解することが大切です。噛み癖には、いくつかの異なる原因があります。
子犬の歯の生え変わり
生後3〜7ヶ月頃の子犬は乳歯から永久歯への生え変わりの時期で、歯茎がむずがゆく感じます。そのため、何かを噛むことで不快感を和らげようとするのです。
探索行動としての噛み行動
特に子犬は口を使って世界を探索します。人間が手で物を触るように、犬は口で物の感触や硬さを確かめているのです。
コミュニケーション手段として
犬同士の遊びでは、軽く噛み合うことが一般的です。人間の手を噛むのは、遊びや親愛の情を表現していることもあります。
恐怖や不安からくる防衛行動
怖い思いをしたり、コーナーに追い詰められたと感じたりすると、自己防衛のために噛むことがあります。
注目を集めるため
飼い主の反応(たとえ叱られることでも)を得るために噛む場合もあります。
これらの理由を理解した上で、適切な対処法を選ぶことが重要です。では、具体的な改善方法を見ていきましょう。
2. 効果的な噛み癖改善法5選

方法1:適切な代替品を与える
犬が手や家具を噛もうとしたら、すぐに適切な噛むおもちゃに置き換えましょう。これは単純ですが非常に効果的な方法です。
実践ポイント
- 犬の好みに合ったおもちゃを選ぶ:硬さや素材、音の出るものなど、愛犬が好むタイプを見つけましょう。
- ローテーションを心がける:おもちゃは3〜4個用意して定期的に入れ替え、飽きさせないようにします。
- インタラクティブなおもちゃの活用:中におやつを入れられるタイプのおもちゃは、長時間犬の関心を引きつけます。
- 適切な使い方を教える:「これは噛んでいいよ」と声をかけながらおもちゃを与えましょう。
おすすめの噛むおもちゃ
- 丈夫なゴム製のおもちゃ(コングなど)
- 噛むことで歯の清掃効果があるデンタルトイ
- 天然素材のガムやチュートイ(ただし、監視下で与えること)
噛んではいけないものを噛んだ時は「ダメ」と静かに言い、すぐに噛んでいいおもちゃに誘導します。愛犬がおもちゃを選んだら、たくさん褒めてあげましょう。
方法2:タイムアウト法で冷静に対応
タイムアウト法は、噛む行為に対して「遊びや注目の終了」というはっきりとした結果を示す方法です。
実践ポイント
- 即時対応が鍵:噛んだ瞬間に「あっ」や「ダメ」と短く言い、すぐに遊びを中断します。
- 感情的にならない:怒ったり大声を出したりせず、冷静に対応しましょう。
- 短時間でOK:タイムアウトは30秒〜1分程度で十分です。長すぎると何のためのタイムアウトか理解できなくなります。
- 一貫性を保つ:家族全員が同じルールで対応することが大切です。
タイムアウトの手順
- 噛んだら遊びを即座に中断し、「遊びおしまい」と静かに伝える
- 犬から離れるか、犬を別の場所(サークルなど)に30秒〜1分置く
- 冷静になったら再び関わり、良い行動を促す
この方法で「噛むと楽しい時間が終わる」ということを学習させます。ただし、罰として使うのではなく、冷静に一貫して行うことが重要です。
方法3:痛みを伝える(ヤープ法)
子犬同士が遊んでいるとき、一方が強く噛みすぎると、もう一方は「キャン!」と鳴いて遊びを中断します。この自然な反応を真似る方法です。
実践ポイント
- 噛まれたら「イタッ!」と高い声で言う:犬が驚くくらいの高めの声で、本当に痛がるように反応します。
- 一時的に遊びを中断する:声を出した後、10〜20秒ほど愛犬と目を合わせず、遊びを中断します。
- 落ち着いたら再開する:犬が落ち着いたら、優しく接し直し、適切なおもちゃで遊ぶよう促します。
- 徐々に噛む力を調整できるようになる:この方法を続けると、犬は「マウスコントロール」と呼ばれる、口の力加減を学びます。
※注意:神経質な犬や怖がりな犬には向かない場合があります。愛犬の性格に合わせて選択しましょう。
方法4:ポジティブ強化で良い行動を褒める
犬のトレーニングでは、「悪い行動を叱る」よりも「良い行動を褒める」方が効果的です。これをポジティブ強化と言います。
実践ポイント
- 噛まない時間を見つけて褒める:おもちゃを適切に噛んでいる時や、手の近くにいても噛まない時に「いい子だね!」と褒めます。
- タイミングが重要:良い行動の直後(1〜2秒以内)に褒めることで、どの行動が評価されているかを理解させます。
- ごほうびを活用する:特に初期段階では、おやつや撫でるなどの目に見えるごほうびと言葉を組み合わせるとより効果的です。
- トレーニングを短く楽しく:1回5分程度の短いセッションを1日に数回行うのが効果的です。
ポジティブ強化のトレーニング例
- 手に軽くおやつを握り、匂いを嗅がせる
- 犬が手を噛まずに舐めたり、おとなしく待ったりしたら即座におやつを与える
- 徐々に待つ時間を延ばしていく
- 「お手」「待て」などのコマンドと組み合わせる
「噛む」という行動の代わりに「お座り」や「待て」などの別の行動を教えることで、問題行動を減らすこともできます。
方法5:噛み癖予防のための適切な運動量確保
退屈やストレス、過剰なエネルギーが噛み癖の原因になることがあります。十分な運動と精神的な刺激を与えることで、問題行動を予防できます。
実践ポイント
- 犬種と年齢に適した運動量を確保する:活発な犬種なら1日1〜2時間の散歩や遊びが必要な場合も。
- 質の高い遊びを心がける:ただ長時間遊ぶより、集中して楽しめる遊びを取り入れましょう。
- 脳トレ要素を取り入れる:ノーズワークや簡単なトリックトレーニングなど、頭を使う活動も疲労感につながります。
- 規則正しいスケジュールを作る:食事、散歩、遊び、休息の時間を一定にすることで、犬に安心感を与えます。
おすすめの運動と遊び
- レトリーブ(ボール投げなど)
- かくれんぼ
- 引っ張りっこ(ルールを教えれば安全に楽しめます)
- ノーズワーク(おやつ探しゲームなど)
- 他の犬との安全な社会化遊び
十分に疲れた犬は、不適切な行動に費やすエネルギーが少なくなります。ただし、過度な疲労は逆効果になることもあるので、犬の様子を見ながら調整しましょう。
3. 絶対にやってはいけないNG対応

噛み癖を直そうとして、かえって状況を悪化させてしまう対応もあります。以下の方法は避けるようにしましょう
身体的な罰を与える
犬の鼻を叩いたり、口を強く押さえたりする行為は、犬に恐怖心や不信感を与えるだけです。結果的に攻撃性を高めたり、隠れて噛むような行動を助長したりします。
大声で怒鳴る
大きな声で叱ることは、犬にとって興奮の要因になることがあります。また、注目を集めるための噛み行動なら、負の強化になってしまいます。
犬の口を無理に開ける
犬の口を強制的に開けようとすると、恐怖から更に強く噛みつくことがあります。信頼関係も損なわれてしまいます。
一貫性のない対応
「今日は許して、明日は叱る」といった一貫性のない対応は、犬を混乱させます。家族全員が同じルールで接することが大切です。
後から叱る
犬は行動と叱責を結びつけられるのは、ほんの数秒間です。噛んだ後しばらくしてから叱っても、何を叱られているのか理解できません。
正しい方法で忍耐強く取り組むことが、噛み癖改善の近道です。
4. 年齢別・噛み癖への対処法

犬の年齢によって噛み癖の原因が異なるため、対処法も変える必要があります。
子犬期(〜6ヶ月)
歯の生え変わりや探索行動が主な原因です。
- チュートイをたくさん用意する
- 優しく噛む力加減を教える(バイトインヒビション)
- 早い段階から社会化を行い、他の犬から適切な遊び方を学ばせる
青年期(6ヶ月〜2歳)
エネルギー過多や興奮が原因になりやすい時期です。
- 十分な運動と精神的刺激を与える
- 基本的なしつけをしっかり行う
- 落ち着いた行動を意識的に褒める
成犬期(2歳〜)
この時期からの噛み癖は、行動学的な問題である可能性が高くなります。
- 専門家(獣医師や認定トレーナー)に相談する
- 原因となるストレス要因を特定する
- 必要であれば医学的アプローチも検討する
どの年齢でも、一貫性のある対応と根気強さが改善の鍵となります。
5. 専門家に相談すべきケース

以下のような場合は、自己対処だけでなく専門家への相談を検討しましょう
- 噛む力が強く、皮膚に傷がつくほどの噛み方をする
- 唸り声や威嚇を伴う攻撃的な噛み行動がある
- 数週間試しても改善が見られない
- 特定の人や状況でのみ噛む行動が見られる
- 突然噛み癖が始まった(健康上の問題の可能性)
- 恐怖や不安から噛んでいると思われる
獣医師や認定された動物行動学の専門家、犬のトレーナーなど、適切な専門家に相談することで、より効果的な対策を立てることができます。
6. まとめ
犬の噛み癖を直すには、原因を理解し、適切な方法を選び、一貫して取り組むことが大切です。今回ご紹介した5つの方法を状況に応じて組み合わせて実践してみてください
- 適切な代替品(噛んでいいおもちゃ)を与える
- タイムアウト法で冷静に対応する
- 痛みを伝える(ヤープ法)
- ポジティブ強化で良い行動を褒める
- 適切な運動量を確保し、精神的な刺激を与える
改善には時間がかかることを理解し、小さな進歩でも認めて褒めることが大切です。そして何より、愛情を持って接することが、愛犬との良好な関係づくりの基本です。